スパークリングホラー
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併存 2017年5月27日


掲示板にあった、自分とそっくりな不審者の目撃情報。彼は真相を暴こうと、不審者を追いかけるが……。

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 俺が日課の散歩しているとき、ふと町内会の掲示板に貼ってあった張り紙が目についた。近寄って見てみると、それは不審者情報の張り紙だった。
「身長170cmほど、20代前半の男。やせ形の黒髪で、眼鏡をかけている?」
──まるで俺じゃあないか。
 今まで呟いた特徴はすべて俺に一致していた。俺は張り紙の下の方に目を滑らす。
「マスクをかけ、上は黒のパーカー。下は迷彩柄のカーゴパンツ……この子、よく見てるな」
 この服装は俺のお気に入りだ。
「複数の女子小学生に対し、『お兄さんと一緒に遊ぼうか』などと声をかけた。似ている人物を発見したら、警察へ……」
──自分で自分を通報するか? そんな馬鹿に付き合うほど、警察も暇じゃねえだろ。
 俺は自分の考えに失笑を漏らした。それに俺はペドフィリアじゃない。それだけでも、俺が不審者じゃないという証明になるし、小学生となんてここ十数年話していない。
「ばかばかしい」
 そう呟いて、俺は散歩をつづけることにした。掲示板のことは気になったが、その理由は俺が間違えられて捕まるんじゃないかという不安からだ。
──そんなことねえよなあ。それだけは勘弁だ。
 漠然とした不安が俺の心にヴェールをかける。すると、近所のお節介焼きとして有名な山田さんが俺に近寄ってきた。
「ねえねえ、あの掲示板見ました?」
「ええ、見ましたよ。俺のこと、犯罪者だとかいうんじゃないでしょうね」
 おばさん特有の、手で空中にいるハエをはたくような仕草をする。そういえば、母親もこんな仕草をしていたな。
「やぁねぇ、そんなことをするわけないじゃない。でも、怖いわよねえ。女の子ばっかりに声をかけるのよ」
「不審者なんて、そんなもんですよ」
「あらぁ、不審者のことを知ってるような言い方じゃない」
──うるせえババアだ。
「じゃ、忙しいのでこれで」
 俺は山田さんが何か話そうとするのを遮って、自分の家に帰る道に足を向けた。さっさと家に帰って、明日の仕事の準備をしないといけない。
 道すがら、俺はあの掲示板に目を向けた。そこには間違いなく、張り紙が貼ってあった。

 翌日。
 職場に向かうために、洗ってあるワイシャツを探そうと衣装棚を漁っていると、あのお気に入りのパーカーがあった。
──最近は出かける暇もないから、私服はほとんど着てないな。
 試しに広げてみる。どこも汚れておらず、変な皴もついていない。試しに臭いも嗅いでみたが、最近着た形跡はない。
「やっぱり、俺じゃねえ。どっかの俺そっくりの奴なんだろ」
 俺はなんとなく気になって、パーカーを洗濯籠に投げ入れてから、またワイシャツを探す作業に戻った。
 半時間後、家を出て駅に向かって歩いていると、小学生と思わしき子供達が近所のボランティアに連れられて、集団登校をしているのが見えた。多分、この近くの小学校だろう。
 もちろん、見たところで食指が動くようなことはない。むしろ、年上の方が好みだ。
──なんでこんなに気にしてるんだろうな……。
 自分じゃないと分かっていても、その思いが頭によぎる。ふと、腕時計を見ると、電車の時間までもう少しだった。
「やべえ、急がないと」
 俺はカバンを背負いなおして、革靴で駅まで走っていった。

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 仕事が終わりって家路についた俺は、帰宅ラッシュの波にのまれていた。この時間、電車は学生から社会人まで、いろんな人でごった返す。
 流れに流されるまま、駅の階段を下りてホームにつく。すると、向こう側のホームに怪しい人間が居た。向こうのホームは上りで人がまばらな分、良く見える。
──ん?
 黒いパーカー、迷彩柄のカーゴパンツ。スマートフォンを見ているように俯いているため、顔は見えない。身長は隣にある自動販売機の高さから見て、170cmほどだろう。そして、やせ形の黒髪。
──もしかして、あいつは……?
 俺はすかさず、階段に向かった。走れば、向こうのホームまで行くのにそう時間はかからない。上手くいけば、取り押さえられるはずだ。
 二段飛ばしで階段を上る。日課の散歩のおかげで、体力だけは自信がある。
 そしてすぐさま、対面のホームへ降りる階段に向かって走った。パルクールのように階段を何段も飛ばす。降りる姿を見た人たちの目線が刺さるが、そんなことはどうだっていい。
 ホームについて周りを見渡すと、奴の姿はなかった。
──嘘だろ? 階段ですれ違ってないぞ。
 トイレに走り、中を覗き込む。誰もいない。個室は鍵がかかっていないし、ドアを開けても誰もいなかった。トイレから出てエレベーターの階層表示を見る。一階で止まったままで、誰も乗らなかったようだ。
──幻覚でも見たか……。くそ、気にしすぎだ!
 心の中で悪態をつきながら、俺はかぶりを振った。
 両方のホームに電車が入り、続々とホームの人間が乗り込む。
──これで、仮にまだホームにいたとしても、追うことはできないな。
 そんなことを思いつつ、俺は下りのホームに戻るために、階段を上っていった。一本電車を逃すことになるが仕方ない。ただ、何とも言えない違和感が、心の中に渦巻いていた。

 幻覚か現実か、わからないものを見てから数日後。ここ数日、狐につままれた気分だった。
 仕事をしつつもあれが頭から離れなかった。あれは見間違いじゃない、間違いなく俺は見た。あの、俺そっくりの不審者を。
──くそ、今度会ったら捕まえてやる。絶対、捕まえてやる!
 そう心に決め、せっかくの休日を奴の捜索にあてた。
まず初めに、俺は以前奴を見た駅に向かった。今のところ、ここでしか見ていないため、ここをあたるしかないのもある。
 目立たないジーンズと白のシャツに黒のジャンパーを羽織った俺は電車から降りて、ホームに立つ。
 すると、階段の近くに黒いパーカーの男が見えた。
 速足で後ろから近寄り、肩を叩く。振り向いたのは、20代くらいのおしゃれな兄さんだった。よく見ると、ズボンは白だ。迷彩じゃない。
「なんです?」
「あ、いえ。人違いでした」
「そうですか。誰か探しているなら、お手伝いしますよ」
「いえ。大丈夫です」
 俺はその人から離れ、改札に向かう。
 そして、駅前のロータリーに出て周りを見渡した。疑わしい人間はいない。
 近くにある自動販売機でジュースを買い、出口前のベンチに腰掛ける。この位置なら、だれが目の前を通ろうと良く見える。
 目を凝らしてから数十分後、見続けるのにも飽きてきた頃。
駅から出てくる黒のパーカーに迷彩柄のカーゴパンツの男が居た。黒髪で、身長はざっと170cmほどのやせ形。
──あいつだ!
 俺はジュースを置いたまま、ベンチから立ち上がって走り寄った。だが、男はそれを察知したのかなんなのか、速足で地下鉄に入っていった。
──逃がしてたまるか。
 地下鉄に入った俺は、持ち合わせていたICカードで改札を通る。
 上りの同じ車両に乗り、少し離れたところから奴を監視する。奴は先ほどからずっと、スマートフォン──俺が持っているものとケースまで同じもの──を見ながら、下を向いたままだ。一体何を見ているのだろうか?
 そのまましばらくすると、終点だというアナウンスが流れた。それを聞いた奴はスマートフォンをしまって、ドアの前に立つ。どうも、ここが目的地らしい。
 終点について、奴が電車を降りる。俺もついていくと、奴は改札口から出て、少し駅の近くを散策した後、また改札口に入っていった。
 普通なら、そんな面倒なことはしない。乗りすぎたのか? それとも、ここが目的地ではないのか? もしくは、俺の予想もできないような別の理由が?
俺の中の執着心が、少しずつ好奇心に変わっていくのを感じた。何かおかしい。一体、この行動に何の意味があるんだ?
 奴は下り電車に乗る。俺もそれについていった。
 
 そして、奴が降りた場所は最初に電車に乗った駅だった。つまり、最初に奴を見かけた駅の近くにある、地下鉄の駅だ。
 そのまま追っていくと、奴は改札を経て出口から地上に出た後、駅の近くにあるビルに向かっていった。そのビルは何の変哲もない雑居ビルで、何回も駅から見てはいるものの、興味惹かれるようなものはなかったために中に何が入っているのかも覚えていない、ただの背景と化しているビルだった。
 そこに向かう奴を追っていると、踏切に差し掛かる。駅の向こう側にあるから、ここを通らないとビルに行けない。
 奴の後を追って踏切を渡る。
 奴は踏切を渡り切るころ、俺は踏切の中ほど──ここの踏切は4本あって大きい──に差し掛かっていた。
 その時、くるりと奴が体をひねって、俺と向かい合う。
奴の顔は笑っていた。だが、俺は驚きのあまり、声が出なかった。
 周りがぼやけて不鮮明になって、ただ「奴の顔」だけがスクラップ写真の様に強調され、俺の目に張り付く。周りの音がフェードアウトし、耳に届くものは、自分の激しく脈打つ心臓の音だけだった。
──おかしい、絶対、こんなことはあり得ない。
 遠くで踏切が鳴る音が聞こえる。
 風を切る音が聞こえる。
 周辺に、車輪とレールの擦れる、激しい金属音が響いた。

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[心霊ツアー]新潟県柏崎市某トンネル 2017年5月6日


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どうもこんばんは、ぐおじあです(゜ρ゜)

今回はゲーム開発用の資料として、
新潟県柏崎市にある某トンネルに行ってきました☆

[心霊ツアー]新潟県柏崎市某トンネル

ぶっちゃけしてしまうと何も映らなかったんですけどね♪
もし気付いてない所に変なものが映ってたら教えてください(η゜з゜)η

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