「体験談+(不)合格記」シリーズ、今回は「応用情報技術者試験=AP」です。
【体験談と合格記】
私が初めて受験したのはFE合格直後なので、10年以上前(H17春)になります。その頃は「ソフトウェア開発技術者試験(SW)」という名称でした。
現在の「応用情報技術者(AP)」とは異なり、マネジメントやストラテジは含まれず、完全にシステム開発者向けの内容でした。
基本情報の時より気合を入れて勉強をした覚えがあります。3ヶ月程度で勉強しましたが、ややキツイ思いをして勉強しました。五分五分だろうなと思いながら受験して、かなりギリギリで合格しました。
勉強に使ったのは以下のようなテキスト1冊と過去問題の解説書1冊だったと記憶しています。
(出版社は違うかも……?)
ちなみに社会人になってからは資格試験を受けていなかったので、リハビリの気持ちで1年半ほど前(H26春)、改めてAPを受験しました。
しばらくFE/APの指導に携わっており、過去問題は6年分ぐらいしっかり解いていたので自分用に勉強はしませんでした。
実際に受験してみると色々と分かる事があったので記しておきます。
まず午前問題はFEの範囲を深く理解していれば80~90%は解けます。そして午後問題は基本的に時間が足りず、悩む時間がほとんど取れない事も実感しました。
※1問当たりの解答時間はH27秋から増えます
(参考:IPA発表の「応用情報技術者試験(AP)における午後問題出題構成の見直しについて」について考える)
立場的に午後の点数が60点いかなかったらどうしようと思いつつ、無事に合格して安心しました。結果は以下です。
試験 | 点数 |
午前 | 86.25点 |
午後 | 75.00点 |
10年ぶりの試験は緊張しました。
さて受験に際しての注意点などです。まず午前はFEと同じで、完全に勉強量に依存します。ただ暗記するのではなく、実際の扱いや用途、意味合い、他の用語との関連性も合わせて覚えておくと、初見の問題も答えが推測し易くなります。
午後に関しては過去問題を解いた時、何回かに1回でも60%(合格点)以上正解できる状態で受験しましょう。例えば正答率が「50~55%」の人はほぼ落ちると思った方が良いです。「50~65%」の人は3回に1回は受かります。その1回が今回になる可能性は十分にあるので、ぜひ受験すべきです。
この試験も合格、不合格の人を多く見てきました。以下のAさんのような人はかなりの確率で合格し、Bさんのような人も一部合格します。しかしCさんのような状態で受かる人はほぼいません。
最高得点を60点に届かせる事が大事だと思っています。
【試験について】
<試験内容>
試験 | 試験時間 | 問題数 | 分野 | 合格点 |
午前 | 150分 | 問1~80 | 全分野 | 60/100点 |
午後 | 150分 | 問1 (必須) |
情報セキュリティ | 60/100点 |
問2~11 (4問選択) |
経営戦略情報戦略,戦略立案・コンサルティング技法,システムアーキテクチャ,ネットワーク,データベース,組込みシステム開発,情報システム開発,プログラミング(アルゴリズム),プロジェクトマネジメント,サービスマネジメント,システム監査 |
※午前はマークシート、午後は全て筆記
H27秋期からの変更された構成です
参考URL:IPA 情報処理技術者試験 試験要項 Ver1.8
<合格率>
試験時期 | 合格率 |
H23年秋期 | 23.6% |
H24年春期 | 20.6% |
H24年秋期 | 20.5% |
H25年春期 | 22.7% |
H25年秋期 | 18.5% |
H26年春期 | 20.1% |
H26年秋期 | 20.2% |
H27年春期 | 19.0% |
参考URL:IPA 情報処理技術者試験 統計情報
合格率は20%程度です。FEとあまり差がありませんが、これはFE合格者の中から更に20%が合格するという考えだと分かり易いでしょうか。「FE合格者(25%)×AP合格者(20%)=5%」となるので、全体からすると合格率は5%ぐらいなのだろうと勝手に思っています。
まず何より午後問題が「筆記(記述式)」であるという事に戸惑う事でしょう。長文から要点をピックアップする方法、問われている事や文字数の埋め方など、ペーパー試験特有のテクニカルな解法を身に着けるだけでもかなり得点は稼げます。
とはいえFEでは暗記で済んでいた用語などについて、ちゃんと意味合いや構成、動きなどを踏まえて理解する事は大事です。
要求される能力は主に以下の4つです。
①用語の暗記(午前問題)
②用語の本質的な理解(午前問題/午後問題)
③長文読解能力(午後問題)
④筆記特有のテクニカルな解法
試験の難易度は難しめです。IT系の業務経験者でないなら、合格確実ラインまで到達する事は難しいでしょう。合格の可能性がある60点前後が限界かなと思います。
経験者の場合は物理的にコンピュータやネットワーク、データベースなどの構成をイメージでき、テストや設計における要点を理解しています。それがない状態で合格するためには、「④筆記特有のテクニカルな解法」に頼る必要が出てきます。
この試験で有利なのは大体、以下に該当する人です。
・FE午前に余裕で合格した人:「①用語の暗記」が既にできている
・IT系の業務経験者:「②用語の本質的な理解」と「③長文読解能力」が既にある
・学校受験や資格試験などで相当勉強した人:「③長文読解能力」が一部既にある
実務経験者は業務知識があるので、長文であってもすんなり問題の状況や構成を理解できるでしょう。受験で相当勉強した人は長文特有の解法に慣れているので、解答を導くコツをすぐに掴みます。
逆に最も苦労するのは以下のような人かと思います。
・FE未受験で、情報処理試験自体が初受験
・学校受験や資格試験の長文対策をやった事がない
・IT系の業務経験者ではない
この場合、まずは基礎を固めるのが良いと思います。可能ならFEから受験しましょう。順序良く、無理ない進め方ができます。
基礎的な用語とその本質的な理解をしていると、長文に散りばめられた語句や状況が理解できるようになり、ひいては長文読解がしやすくなります。いきなり午後問題を解いて理解できないと諦めるのではなく、何が不足しているから理解できないのかを考えてみましょう。概ね基礎知識の不足が原因なのですが。
【おススメ勉強方法(午前)】
まずFEの午前に合格するレベルが最低条件です。
FEを受験していない人や運よくギリギリで基本情報の午前に合格した人は、勉強しなければ当然不合格になります。改めて用語の暗記を始めましょう。
丸暗記するのではなく、用語の意味合いや実際の使われ方なども気にして覚えると午前の新規問題や午後の長文読解時にも役立ちます。
ここは完全に努力量なので、FE同様に時間をかけて勉強すればかならず合格できます。FEに合格する能力を持った人が受験する試験なので、能力不足という事は起きません。手を抜いた場合に落ちてしまいます。
新規の問題も出てきますが、FE同様に過去問がメインです。合格基準としては過去問題で65%ぐらい安定して正答できれば十分でしょう。新規の問題も、既存の用語がきちんと理解できていれば答えを推測できるものは多いです。
【おススメ勉強方法(午後)】
まず用語や仕組みなど、テキストに書いてある事をしっかり理解しましょう。暗記ではなく理解する事が大事です。
例えばメール送受信を例として、送信時にメールは送信サーバに送られます。その後、送信サーバが携帯やPCに直接メールを送るのではありません。受信サーバが受け取ります。受信サーバはPCにメールを送りません。受信サーバが持っているメールデータをPCなり携帯なりから受け取りに行く、という仕組みです。
送信サーバがPCに直接メールを送る、受信サーバが受け取ったメールをPCに送るなどと誤った知識を持っていると長文問題は理解不能になります。「あれ?メールのデータはどうやって最終的に相手まで届くのだろう」などと疑問を持った時にしっかり理解しておくと良いでしょう。
また解答テクニック的な面で言うと、色々あります。以下の2点は重要かと思います。
①長文を要点で見る
②解答字数を含めて記述解答を考える
「①長文を要点で見る」とは、書かれている内容をまとまりで見る事です。
例えば以下のように問題を把握するようにします。
全文を見ると長いですが、俯瞰してみれば以下のような内容でしかありません。
・システムの説明
・システムの機能
・DBの内容
・機能(Webユーザ管理)の説明
・機能(空席管理)の説明
・問題発生
更に受験テクニックで言えば、基本的にIPAの問題は後方の記述が必要となる事はありません。今回で言えば問題1~3は空欄a~hについて問われています。「・問題発生」の箇所は後方にあるので設問1~3では使わない(熟読しなくてよい)という風になります。絶対ではありませんが。こういったテクニックは問題をたくさん解くと身に付くようになります。
次に「②解答字数を含めて記述解答を考える」は、スペシャリスト試験の勉強をしていると特に身に付くのですが、30字以内で答えなさいと言われた場合は概ね30字ぐらいで答えが用意されています。ペーパー試験ですので、基本的には相手の求める解答を書くようにすると答えが導きやすいです。10字で答えが出た時は何か不足があると思いましょう。私はまず自分の思う答えを文字数に囚われず書いておき、多いなら要点を絞って短くし、短いなら他に書くべき事を見落としていないか調べます。
資格試験ですので採点する人がいて、全員が同じ基準で採点されることを念頭に置きましょう。画期的な方法や自分が思う最適な答えが正解になるわけではありません。採点者があらかじめ用意している解答が正解になるのです。これを逆に利用して考えるようにすると、解答テクニックが身に付くと思います。