IPA発表の「応用情報技術者試験(AP)における午後問題出題構成の見直しについて」について考える

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応用情報技術者試験(AP)」は、業界では知らぬ者はいないIPAの資格試験「基本情報技術者試験(FE)」の上位資格です。

基本情報はIT系の新入社員や入社1~ 3年程度で求められる資格ですが、応用情報は主にチームリーダーや管理職になる際に取得を要望されます。
(当然、会社によります)

さて少し前の話になりますが、2015年5月にIPAから、応用情報技術者試験の午後問題の出題構成を変更するとのプレス発表がありました。

原文は以下のURLから確認してください。
URL:プレス発表「応用情報技術者試験」午後試験における出題構成の見直しについて

ざっくり言うと、H27年秋期から午後の選択問題の数と構成が変わるよ、ってことです。
【変更前】

<午後試験>
時間:150分
出題形式:記述式 ※全6問解答(以下、内訳)

選択 内容
必須 情報セキュリティ
1/2選択 プログラミング、経営戦略
4/8選択 システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、情報システム開発、
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査

【変更後】

<午後試験>
時間:150分
出題形式:記述式 ※全5問解答(以下、内訳)

選択 内容
必須 情報セキュリティ
4/10選択 プログラミング、経営戦略、システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、
情報システム開発、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査

試験時間は変わらず、問題数が全6問から全5問になり、1問減りました。
まあここまではプレス発表なり参考書を見るなりすればすぐ分かります。

私が注目しているのは以下の箇所です。

具体的には、受験者が自らの担当業務や専門性に応じて、午後試験における出題範囲の全分野から自由に問題を選択できる形式に変更し、解答数を1問減らしました。これにより、受験者は自らの担当業務や専門性に応じた問題を選択することができ、さらに1問あたりの解答時間が増えるため、受験者の知識・スキルを、より適切に評価できるようになります。

この文章で特に注目したいのが「1問あたりの解答時間が増えるため」の部分です。
午後問題の「解答時間が増えた」のは当然ですが、問題のボリュームが増える、難易度が上がる事を懸念しましたが、この文からは午後問題の内容(難易度)や量は変わらないと言っているように感じられます。

そうなると、時間をかければ問題を解ける人は点数が上がる反面、時間があっても解けない人は相対的に点数が低くなると推察されます。
情報処理技術者試験は本来、絶対評価です。60点取れば合格する試験です。しかし厄介な事にゲタが存在するというのが通説になっており、私も仕事柄何回か受けて、午後(筆記)問題は受験者のレベルに応じて点数が増加されている割合が変わっているように感じました。

この前提から考えると、点数が上がる人がいるというはゲタが小さくなると推測します。

なので私は今回(H27秋)の応用情報技術者試験について、「難易度はいつも通りだが、過去問で6割ギリギリラインの人は落ちる可能性が高い」という考えです。

受験者の皆様は、特別難しい過去問題等にはこだわらず、基本的な問題を少し余裕をもって点数が取れるよう訓練しておく方が良いのではないかなと考えます。

ちなみに午前の出題はいつもと変わりません。基本情報の午前問題で80点付近を取れる人であれば、無勉でも合格するでしょう。逆に基本情報の午前問題が60点ギリギリの人は勉強しておかないと、午後問題に対策したところで午前で落ちます。午前問題はマークシートなのでゲタはありません。

また発表では、出題構成変更に至った経緯を以下のように説明しています。

 近年、クラウド、モバイル、ソーシャルネットワークといった新たなITサービスの台頭・進展に伴い、それを担うIT人材の業務・役割も多様化しています。応用情報技術者試験においても、必ずしもプログラミングのスキルを必要としない「インフラ構築」、「IT運用」、「プロジェクト管理」などを主な業務・役割とする応募者の割合が年々増加傾向(*3)にあります。
このような背景を踏まえ、IPAでは、業務・役割が多様化する中において、IT人材をより適切に評価するため、応用情報技術者試験の午後試験について、出題構成の見直しを実施しました。

応用情報の旧制度「ソフトウェア開発技術者試験」では、あれほどプログラミングスキルを要求していたのに……。

確かに社会的に見た応用情報技術者試験が管理者の入門等であると考えれば、妥当ではあるのですが。

ちょっと話がズレますが、技術者志望の若者は年々プログラミング能力が低下しているように思います。能力的に劣っているとは思わないのですが、プログラミングの論理的思考を繰り返して経験を積む事を避ける人が多い印象です。そのため、少し複雑な処理になるとお手上げになりがちです。

この上、IPAまでプログラミングスキルを必須とみなさなくなるとは……業界の今後は大丈夫なのだろうかと思ってしまいます。私もCPUやレジスタ回りの処理をさほど知らずにプログラムを組んでいるので、昔の技術者から見ると心配になるのかもしれませんが。

アセンブラを知らずともプログラムが作れる現代のように、いずれアルゴリズム能力に乏しくてもプログラムが作れる時代が来るのかもしれませんね。

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