合格記と勉強法「ネットワークスペシャリスト試験」

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「体験談+(不)合格記」シリーズ、今回は「ネットワークスペシャリスト試験=NW」です。スペシャリストは以降、データベース=DB、ネットワーク=NW、情報セキュリティ=SCと略します。

【体験談と合格記】

私が初めて受験したのはAP合格直後なので、10年近く前(H17秋)です。ハッキリ言って何も分からず受験して散った記憶です。当時は「テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験」という名称でした。
自分でも受かるとは思えず、勉強方法も見出せませんでした。ただぼんやりとネットワーク業務に携わる人じゃないと無理なんだな、と考えていた記憶があります。
当然、不合格でした。もはや勉強法や使ったテキストなども覚えていません。

1年前(H26秋)にNWを受け直しました。私は開発が専門なのでネットワークは業務経験がありません。サーバ(Linux)をちょっと構築した程度です。APでそれなりの点数が取れていたので、このまま勢いで受験しようと考えました。SC/DB/NWは全て受験しようと考えていたので、どうせなら一番難しそうなNWからやっておこう、落ちても次回に生かそうという考えでした。

かなり勉強したのですが、1/3ぐらいで合格できるかなという程度にしか到達できませんでした。午後Ⅱはたまに合格ラインに乗るぐらいです。受験した感じでは、午後Ⅱはそこそこいけた感触がありました。しかし午後Ⅰがあまりにも解けた感じがせず、不合格だろうと思っていたので、合格結果を見た時は驚きました。結果は以下です。

試験 点数
午前Ⅰ 免除
午前Ⅱ 80.00点
午後Ⅰ 67点
午後Ⅱ 62点

午後Ⅰが想定より高く、恐らくゲタなのだろうと思います。午後Ⅱはもうちょっと取れたと思いましたが、とにかく予想外に合格できました。再受験して合格できる自信は正直、ありません。

さて受験に際しての注意点などです。まずネットワーク業務経験者以外が受ける場合、かなりの苦労を伴います。APの上位に位置しながら、要求される知識が全く別物という点が辛いです。とはいえ合格は不可能ではありません

私はこの資格試験を勉強するにあたって、2~3万円ぶんぐらいの書籍を購入しました。完全に初心者として、一から勉強し直す必要があると感じたからです。購入したのは以下の書籍です。

※「.com Master Advance」のみ過去問題集がなかったので、公式テキストの方を載せました

上記、全部買いました。かなり出費は大きかったですが、大半が役立ったので以下に用途など書いておきます。

・マスタリングTCP/IP 入門
→一冊丸々読み込み、ネットワークのイメージを掴みました。
・3週間完全マスター ネットワークスペシャリスト
→メインのテキストにしました。ボリューム多めですが、必要な知識が系統だてて易しく書いてあります。
・ネスぺの剣 25
・ネスぺ 23
・ネスぺ 22β
・ネスぺ 21
→非常に役立ちましたが、どれか1冊で良かったかもしれません。午後問題を詳細に説明しており、これがなければ受験を諦めていたレベルです。
・ルーター&スイッチ超入門 改訂版
→TRILL勉強のために買いました。出題されませんでしたが、暇なときに読んでいました。
・.com Master ADVANCE 問題解説集(演習問題&模擬問題)
→最後の追い込みで使いました。DNSSECやIPv6など、基礎知識が補強できます。合格ラインをギリギリ超えたのはこの本で勉強したおかげだと思います。
・ネットワークスペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策
→最後に多少時間が余ったので購入。
・ネットワークスペシャリスト パーフェクトラーニング過去問題集
→過去問題を印刷したり、PC画面で見るのが面倒だったので購入。時間短縮のためです。
・情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト
→やや簡潔に書かれているきらいがあり、私の知識では理解できない箇所が多かったので今回はあまり使用せず。
・SDN/OpenFlowのしくみ
→OpenFlowを勉強するために購入して一部読みましたが、時間不足のため途中で放棄。内容は分かり易かったです。
・数冊のネットワーク、ルータ、スイッチの入門雑誌
→新しいネットワーク技術などの動向を探るために購入。各種ネットワーク最新技術のサイトを巡ったりなどもしました。

少し長くなりますが、以下に私の勉強法を記します。最適な勉強法ではないかも知れませんが、ネットワーク業務経験者以外が合格するための方法としては割とうまくいったのではないかと思っています。偉そうに語れる点数でもないので、あくまで方法の一つとして参考にして下さい。

まず勉強期間は4ヶ月程度です。難易度が高い事は聞いていたので、AP合格後すぐに勉強を始めました。

<試験4ヵ月前>
まず過去問題を解いてみましたが、解説を読んでもサッパリ理解できません。各所で有名な「ネスぺ」を使ってようやく読み進める事ができましたが、基礎知識の不足をハッキリ自覚しました。この時点では自分で解ける気がしませんでしたが、まず1冊「ネスぺ」を読んで試験の要求水準を把握する事に勤めました。

並行して「TCP/IPマスタリング 入門」と「3週間完全マスター ネットワークスペシャリスト」を中心に基礎知識を身に着ける事にしました。勉強中にルーター/スイッチ周りの知識不足があるために処理の流れなどイメージし辛い事に気付いたので、雑誌を読んだり、「TCP/IPの階層」と「パケット」を意識しながら勉強を進めました。

あわせて午後Ⅰを解く訓練を開始しました。午前Ⅱの問題も解いてみましたが、このまま基礎勉強を続ければ合格ラインには乗るだろうと判断して最後に回しました。この時点では午後Ⅰもほとんど正答できません。とにかく時間をかけて問題を理解する事に勤めました。最初は1問を理解するのに3時間以上かかった記憶があります。

<試験3ヵ月前~2週間前>
週末は図書館に行って半日勉強しました。受験生と並んで机に座って勉強するのは懐かしい感じです。悲しいことに集中力は3時間ぐらいしか持たないようになっていましたが、状況を広く俯瞰する力はついたようで、時には時間を切り上げるなど効率重視で取り組みました。勉強内容は引き続き基礎知識を学びつつ、午後Ⅰと午後Ⅱの理解です。

スイッチ周りの知識とパケットの理解が足りない気がして、時間を見て雑誌なども読みました。過去問題でTRILLやファブリックイーサネット、SDN(オープンフロー)なども出題されていたので、一通り理解しながら最新技術も幾つかWEBなどで調べていました。

試験2~1ヵ月前ぐらいから午後Ⅰの点数が60点に近付いてきました。試験の1ヶ月頃から午後Ⅰが60点を超えるようになり、遂に午後Ⅱが60点を超える時が出てきました。

<試験2週間前>
ここからは忘れかけてきた知識の補強を行いました。やや時間が余った分で、.com master Advanceの問題などでIPv6を中心に勉強をしました。セキュリティ回りの問題が含まれており、ここで学習した事が今回の合格に必要な最後の一押しになったと思っています。

<試験当日>
午前Ⅰが免除だったので、会場到着後に時間が余りました。実は午前Ⅱをほぼやっていなかったので、1時間ぐらい過去問サイトを回遊。過去問メインなので、この1時間で十分な午前Ⅱの対策になりました。

午前は特に難なく終了。午後Ⅰ開始。試験開始後、45分/1問である事に今更気付きました。勉強中はあまり時間を気にせず、おおよそ1時間ぐらいで1問を解いていたので、焦りました。時間の無い中、トイレにも行きたくなり、問題も解けた感じがしません。不合格だなと思いつつ、あれだけ勉強したのだから勿体ないという気持ちがあり、改めて午後Ⅱに挑む事にしました。

午後Ⅱは思っていたより理解できました。VoIPは無理に挑んでも専門の人には敵わないので一見してパス、もう1問の方を選択しました。セキュリティ範囲の内容がやや多いと感じました。

どこかで言われていた事なのですが、本番で失敗しても諦めない事が大事です。合格するラインにいる人なら、自分が解けない場合には他の人も解けないのかもしれないと思いましょう。皆が点数低ければ、合格ラインが下がる事も十分にあるのですから。

【試験について】

<試験内容>

試験 試験時間 問題数 分野 合格点
午前Ⅰ 50分 30問 全分野 60/100点
午前Ⅱ 40分 25問 ネットワーク 60/100点
午後Ⅰ 90分 問1~3
(2問選択)
ネットワーク 60/100点
午後Ⅱ 120分 問1,2
(1問選択)
ネットワーク 60/100点

※午前はマークシート、午後は筆記

参考URL:IPA 情報処理技術者試験 試験要項 Ver1.8

<合格率>

試験時期 合格率
H21年秋期 14.9%
H22年秋期 13.6%
H23年秋期 14.7%
H24年秋期 13.8%
H25年秋期 14.3%
H26年秋期 13.9%

参考URL:IPA 情報処理技術者試験 統計情報

合格率は14%程度です。AP同様にある程度の能力を持った人たちが受験しての合格率なので、難易度はかなり高いと思います。

APまでに存在しない知識が前提の問題は、ハッキリいって意味不明です。私も昔、業務経験者でないと合格不可能だと判断して諦めました。この試験は「試験勉強」を始める前に「基礎知識の勉強」が必要です。合格は不可能ではない事を念頭に置いて、自分に足りない知識と、それを習得するための方法をしっかり考えると良いです。

また他のスペシャリスト同様、午後Ⅱの問題文がありえない長さです。APの午後問題は2ページ程度なのに対し、10ページほどに及びます。これに関しては業務経験者を含み、必ず対策が必要だと思います。

要求される能力が何かハッキリ分かるほどこの試験を熟知できていませんが、以下は必要だと思いました。

①用語の理解
②ネットワーク階層の感覚的な理解
③パケットの動きの理解
④長文問題慣れ
「①用語の理解」ですが、この試験の用語は分からないものが多いです。APがFEの延長で勉強できるのに対して、NWはAPまでになかった知識がメインになります。数多い用語について、詳しい動きなども理解しておく必要があります。

「②ネットワーク階層の感覚的な理解」はL2とL3やVLANなど、同じネットワーク内の異なる層での動きを感覚的に理解できる事です。これはAPまでにさほど必要とされないため、習得にはだいぶかかりました。TCP/IP上で動作するプロトコルやVLANなどを学んでいるうちに、おぼろげながら掴めた感じです。

「③パケットの動きの理解」はプロトコルごとのパケットの扱いやパケット内のビットデータの意味合い、ネットワーク機器がパケットをどのように扱うかといった知識です。データの流れが見えるようになります。

「④長文問題慣れ」は午後Ⅱなどの長い問題をどのように見るかという訓練です。細かくは体感して習得するしかないのですが、私が特に役立ったと感じている助言は「午後Ⅱは長いが、午後Ⅰが集まっただけだ」というものです。午後Ⅱは設問が5個ほどあるのですが、それぞれが1つの午後Ⅰ問題であると考えれば解答できる気がしてきます。

【おススメ勉強方法(午前Ⅰ)】
免除だったので勉強してませんが、基本的にAP合格レベルの知識があれば十分です。

【おススメ勉強方法(午前Ⅱ)】
午後に必要な勉強をしていれば、不合格にはなりません。必要な用語をしっかり理解していないと午後の問題が読めないので午前Ⅱのための対策は(ほぼ)必要ないレベルです。
ただ過去問題を解いた方が絶対に点数は上がるので、試験直前にでも確認しておくと良いでしょう。

【おススメ勉強方法(午後Ⅰ)】
ネットワーク業務の未経験者にとって、ここから未知の領域になります。いきなり午後問題から勉強を始めた場合、その意味不明さに泣きたくなります。IT未経験者がFE午後問題に挑むのと同じ状況です。解けなくて当然なので、解説本をつかってじっくり時間をかけて問題のレベルを測りましょう。

その上で勉強を始める前の基礎知識(用語など)の勉強を始めましょう。この際、試験のための用語だけでなく「マスタリングTCP/IP」などでネットワークの常識的な知識を並行して習得すると理解が早まります。知識とデータの流れの感覚が身に付き始めたら、あとは問題を解いて理解をする地道な反復訓練です。

午後Ⅰが正答できるようになると、午後Ⅱも解けるようになってきます。しっかり取り組みましょう。

【おススメ勉強方法(午後Ⅱ)】
午後Ⅰに慣れてから挑む事をおススメします。ひとまず解説本などでレベルを測るのは良いですが、実際に解き始める事ができるのは午後Ⅰがやや解けるようになってからだと思います。

問題を解く段階になったら、2時間集中する能力をつける事が大事です。ペーパー問題に長時間挑む経験があるのは大学受験者ぐらいだと思うので、この試験を受ける人は経験があっても遥か昔の事だと思います。しっかり時間いっぱい集中する訓練をしておきましょう。

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